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朝ドラ『風、薫る』8月19日放送の第103回を振り返り

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コラム

朝ドラ『風、薫る』8月19日放送の第103回を振り返ります。浜松へ帰る決意をしたシマケンと、りんに向けた「一緒に来てほしい」という言葉から、人生の選択と家族という居場所について考えました。

シマケンが選ぼうとしている「家族のいる場所」

8月19日放送の『風、薫る』第103回では、シマケンが義理の姉から浜松に帰ってきてほしいと頼まれ、自分も浜松へ戻ることを決めたようです。

そして、その決意をりんに伝え、「一緒に来てほしい」と告げました。

これまでのシマケンを見ていると、この選択は意外なようでいて、どこか彼らしいものにも感じられます。

シマケンはこれまで、りんへの思いを抱えながらも、自分自身の進む道をなかなか定めきれないところがありました。

小説家になる夢もありましたが、その道を断念。

そこへ今度は、実家を継ぐという新しい役割が目の前に現れます。

「夢」から「家族」へと重心が移っていく

今回おもしろいと感じたのは、シマケンの人生の重心が、少しずつ「自分が何者になりたいのか」から「自分は誰と生きていくのか」へ移っているように見えるところです。

小説家を目指していた頃のシマケンには、自分自身の夢があります。

ところが、その夢を手放したあとに残ったのが、家族から必要とされるという現実でした。

義理の姉から帰ってきてほしいと言われれば、浜松へ戻る。

そして、そこで実家を継ぐ。

これは必ずしも消極的な選択とは限らないでしょう。

自分の夢を追い続けることだけが、自分らしい人生の選択とは限りません。

家族から必要とされることや、自分が生まれ育った場所を引き受けることもまた、その人にとって大切な人生の選択になり得ます。

もちろん、視聴者によっては「本当にそれでいいのだろうか」と感じるかもしれません。

シマケン自身が経営者としてやっていけるのか、実家を継ぐことが彼にとって本当に望んでいた人生なのか。

まだ分からない部分も多く、そこはこれから描かれていくところなのでしょう。

「一緒に来てほしい」に込められたもの

そして何より気になったのが、りんに対する「一緒に来てほしい」という言葉です。

単純に考えれば、好きな人と一緒に暮らしたいという気持ちがあるのでしょう。

これまでのシマケンとりんの関係を考えれば、そう受け取るのは自然です。

一方で、今回の言葉には、それだけではないものも含まれているように思いました。

シマケンにとって浜松へ帰ることは、家族のもとへ戻ることです。

しかし、それだけではなく、これから自分が背負っていく生活の中に、りんにもいてほしいということなのではないでしょうか。

夢を追う人生ではなく、家業を継ぎ、家族との関係を引き受ける人生。

その新しい生活に、りんにも加わってほしい。

そう考えると、「一緒に来てほしい」という言葉は、単なる恋愛の誘いというより、シマケンが自分の人生の形をりんに提示した言葉にも見えてきます。

血縁が人を呼び戻すということ

今回、シマケンが実家を継ぐことになった展開を見ていて、「こういうときは家族を頼るのだろうな」とも感じました。

現代の感覚からすると、仕事や人生の進路を決めるときに、血縁だからという理由だけで故郷へ戻ることには、少し距離を置いて考える人もいるでしょう。

けれども、家や店を継ぐということは、単なる職業選択ではありません。

そこには家族の歴史や、それまで積み重ねてきたものを誰が引き受けるのかという問題があります。

だからこそ、本人の能力や希望だけでは決められない部分もある。

シマケンが経営者としてどこまでやれるのかは、現時点では未知数です。

ただ、今回の展開では「経営者に向いているから継ぐ」のではなく、「家族から必要とされ、自分もその役割を引き受ける」という順番になっているように見えます。

そこには、明治という時代の家族観や家業というものの重みも感じられます。

りんはどんな選択をするのか

そして、このシマケンの決断によって、今度はりん自身の選択が問われることになりそうです。

一緒に浜松へ行くのか。

それとも、自分がこれまで築いてきた看護の道を選ぶのか。

もちろん、二つを両立させる可能性もあるでしょう。

だから、「りんはシマケンについていくはず」と決めつけて見る必要はないと思います。

むしろ今回の話で重要なのは、シマケンが先に自分の進む方向を決めたことで、りんにも新しい選択肢が生まれたことなのではないでしょうか。

『風、薫る』は、看護の道を選んだ女性たちの物語である一方で、登場人物たちがそれぞれの人生をどう選んでいくのかを描いてきた作品でもあります。

シマケンの場合、今回選んだのは「夢を追い続けること」ではなく、「家族のいる場所へ戻ること」でした。

その選択が彼にとって正解なのかどうかは、まだ分かりません。

そして、りんがその選択をどう受け止めるのかも、これからの大きな見どころになりそうです。

「一緒に来てほしい」というシマケンの言葉が、りんの人生をどのように動かすのか。

明日の放送では、その答えの一端が見えてきそうです。

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